博物館 明治村でレトロさんぽ

建築を巡って、明治の時代にタイムトリップ!「博物館 明治村でレトロさんぽ」特集

    • Facebook
    • X
    • LINE
    • クリップボードにコピーしました

最終更新:2025年12月15日

門をくぐれば、そこはまるで明治時代。
建造物巡りや乗車体験、買い物を楽しもう!

2025年に開村60周年を迎えた「博物館 明治村」。国指定重要文化財をはじめとした貴重な建造物巡りや、レトロな市電の乗車体験、オリジナルグッズの買い物など、楽しみ方はいろいろ! 今回は、広い村内から見どころをギュッと凝縮した、おすすめの歩き方をご紹介します。

Index

 

「博物館 明治村」について

明治時代を中心とする歴史的建造物を保存展示する野外博物館として、1965年に開村しました。犬山市郊外の入鹿池に面した丘陵地に、60を超える建造物が移築・復原されています。見て、体験して、味わって、明治時代の文化を体感することができます。

 

① いざ、明治時代をタイムトリップ! レトロさんぽの出発地点

第八高等学校正門
装飾も軽やかな、赤レンガと白御影石の門

正門入村口に向かうと、まず見えてくるのがこちら。高等学校令により名古屋に開校された第八高等学校の正門で、明治42年(1909)に建造されました。赤煉瓦と白御影石を積み上げ、扉や柵に鉄材を軽やかに使った目を惹くデザインは、明治期に導入されたネオ・ルネッサンス様式。これから始まる明治村さんぽへのワクワク感を、一層高めてくれます。

▼博物館 明治村 1丁目1番地

 

② 名作を生んだ、文豪の住み家を訪ねて

森鷗外・夏目漱石住宅
2人の文豪が暮らした、明治の和風住宅

東京都文京区に建てられ、空き家だったこの家を、明治23年(1890)に森鷗外が借りて1年余りを過ごしました。ここに移り住む前に処女作小説『舞姫』を発表し、この家では『文づかひ』等の小説を執筆しています。その後、明治36年(1903)には夏目漱石が住み、『吾輩は猫である』を発表。文中に登場する家の描写には、この家の姿がよく表れています。明治を代表する2人の文豪が相次いでこの家に住んだとは、なんとも不思議な縁を感じますね!

▼博物館 明治村1丁目9番地

 

〈Pick Up〉部屋が独立する現代住宅様式の始まり

この家は、当時の典型的な中流住宅。黒猫のオブジェが迎えてくれる書斎は南面に突き出して建ち、この形が後に洋間の応接室に変化していきます。女中部屋の前には中廊下の起源も見られ、各部屋が独立した現代住宅への第一歩が感じられる建築としても注目されています。

 

〈Pick Up〉書斎に座れば、明治の文豪気分

漱石が執筆してたであろう部屋の様子が再現された、玄関脇の応接兼書斎。実際に机の前に座ることができ、手元には原稿も置かれています。たくさんの本に囲まれて、あなたも文豪になった気分を味わってみては?

 

〈Pick Up〉木漏れ日の「偉人坂」をおさんぽ

「森鷗外・夏目漱石住宅」は小高い丘陵地に建ち、そこへ向かう坂は、2人の文豪にちなんで「偉人坂」と呼ばれています。木々に囲まれた散歩道となっており、自然を感じながら散策が楽しめます。

 

③ 和洋折衷の街並みに、文明開化の風を感じよう

レンガ通り
グルメや体験も揃う、明治村のメインストリート

偉人坂を下ったら、続いては2丁目の「レンガ通り」へ。通り沿いには、銀行、小学校、医院、電話交換局、派出所など、明治時代に建てられた施設が立ち並びます。昔ながらの日本建築と洋風建築が共存する街並みを歩けば、文化の大きな変わり目を感じられるはず。
また、明治風の衣装をレンタルできる「ハイカラ衣装館」や、女中さんが建物内を案内してくれる「東松家住宅」の建物ガイド・イマーシブ、明治風グルメが味わえる「食道楽のカレーぱん」の店もあります。

▼博物館 明治村2丁目

 

〈Pick Up〉札幌電話交換局

赤レンガ通りの入り口付近に建つ、ルネッサンス様式に則った重厚な石造建築。電話交換業務が北海道で行われるようになったのは明治33年(1900)のことで、高価な交換機を火災から守るために、地元産の石材を用いて建てられました。用途に応じて軟石と硬石が使い分けられています。

 

④ 入鹿池のほとりに建つ灯台と、灯台守の官舎を見学

菅島燈台附属官舎
アーチ状の扉がかわいい、灯台守のレンガ住宅

三重県鳥羽沖の菅島で、灯台の灯りを管理していた職員の官舎。「お雇い外国人」英国人技術者R.H.ブラントンの指導により建設され、壁はイギリス積みのレンガ造り。正面にベランダを設け、出入り口の上にはレンガでアーチが架けられています。なお、移築再建時に使用されたレンガは、すべて本物の建物で使われていたもの!

▼博物館 明治村3丁目30番地

 

〈Pick Up〉回転レンズが生み出す、光の世界

建物内の展示室では、三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台となった「神島」の灯台で、実際に使われていたレンズが展示されています。真っ暗な室内に足を踏み入れると、灯台レンズが点灯して、光と影の不思議な世界に迷い込んだよう。
※現在修理中のため、回転・点灯いたしません。2026年1月頃より回転・点灯する予定

 

品川燈台
明治3年築、現存する日本最古の洋式灯台

フランス人技師ヴェルニー設計のもと、フランス人技手フロランによって、東京都品川沖に建設されました。石油による光で「光の強さは100燭光、光源の高さは地上から19尺(約5.8m)海面上52尺(約16m)、光の届く距離は約18km」また「燈火は日本初の赤色火舎を用いた不動紅色」との記録が残されています。灯台に面する入鹿池を前に、灯火が遠い海を照らす様子に想いを馳せてみましょう。

▼博物館 明治村3丁目29番地

 

〈Pick Up〉方位を示す頭文字をよく見ると…?

頂上の風見には、方位を示すN(nord:北)、S(sud:南)、E(est:東)、O(ouest:西)の文字が。そう、フランス語の頭文字なんです! フランス人によって設計・建設されたこの灯台は、部品もフランスから輸入されていたことが伺えます。

 

⑤ レトロな車両に揺られて、村内をのんびり電車旅

京都市電「品川燈台駅」→「名古屋駅」
明治製造の路面電車を体験乗車

3丁目の「品川燈台駅」から4丁目の「名古屋駅」を、京都市電に乗って路面電車の旅を楽しんでみませんか? 村内を運行するのは明治43~44(1910~1911)年に製造された車両で、乗車体験ができる日本最古の路面電車です。走行速度は当時と同じくらいの約10km。カンカンと響く警鐘の音や、当時電車の前を往来する人や障害物をすくい上げるために考案された救助網、終点駅での貴重なポール付け替え作業などは、乗り物好き必見ですよ!
1乗車料金/大人500円、小学生300円

▼市電品川燈台駅 博物館 明治村3丁目
▼市電名古屋駅 博物館 明治村4丁目

 

〈Pick Up〉車両のインテリアに注目

110年以上前に製造された木製の車体。スズランをかたどったランプや、牛革&籐のつり革、シックな赤色の座席が、なんともノスタルジックな雰囲気。

 

〈Pick Up〉車窓からの景色も楽しんで

開放窓からの風が気持ちいい! 「品川燈台駅」から次の停車駅「京都七条駅」へ向かう区間では、車窓左手に入鹿池の景色を眺めることができます。

 

⑥ 現在と10年後の未来をつなぐ手紙を出そう

宇治山田郵便局舎
存在感光る、現存する最大の本格的な木造郵便局舎

明治42(1909)年、伊勢神宮外宮大鳥居前の角地に建てられた郵便局舎。円形状の中央棟と両脇の角塔、そして両脇にV字型に連なる東西翼屋からなる洋風意匠は、明治期の洋風建築の中でも独特の存在感を放ちます。2019~2022年の保存修理工事では、外観が建設時と同じ緑色に塗り直され、当時の姿が蘇りました。建物内では、窓口のカウンター、郵便物の発着口、切手倉庫、電話交換室などを見学できるほか、現役の簡易郵便局業務も!

▼博物館 明治村4丁目46番地

 

〈Pick Up〉10年後に封書を投函するサービス「はあとふるレター」

はあとふるレターは、手紙(封書)を預け、指定された住所宛に10年後のお預かりした月に投函される、明治村の手紙投函サービス。明治村オリジナルのレターセット(300円)を購入し(封書・手紙は持ち込みもOK※封書は定形の企画に準じる)、10年後の自分や大切な人に、メッセージを綴ってみては?
はあとふるレター/1通700円

 

〈Pick Up〉光あふれる円形エントランス

正面入口を通ると、「公衆溜」と呼ばれる円形のホールが現れます。ホールの天井は、隣接する翼部より一段高く設計され、高窓から自然光が差し込む明るい空間。このホールを囲うような形で、窓口カウンターが配置されています。

 

〈Pick Up〉切手倉庫は防火対策も万全!

建物の背面に回ると、切手倉庫の入口があります。建物全体は木造ですが、実は切手倉庫のみ、木造建築の中に煉瓦積の壁を設けた二重構造。ほかにも、波形鉄板を張った天井、鉄製防火シャッター、鉄製防火戸など、防火・防犯に配慮した厳重な造りで大切な切手を保管していました。

 

⑦ い~い湯だな♪ 昔の銭湯の雰囲気を疑似体験

半田東湯
古き良き時代の面影を残す、地域の湯処

かつて知多半島の港町で営業していた銭湯。建設は明治末年(1910)頃と伝えられ、木造2階建の町家を思わせる佇まいです。のれんをくぐると、まず番台があり、男女それぞれに分かれた更衣室、その奥に浴室があります。浴槽の中に入ることもできるので、ぜひ銭湯気分を味わってみましょう。また、銭湯は地域の社交場ともなっており、男湯からは2階の湯上り処へ行くことができました。

▼博物館 明治村4丁目50番地

 

〈Pick Up〉入浴スタイルの違いを体感!

こちらの浴槽、実は男湯と女湯がつながっており、目隠しのみで仕切られています。今となっては考えられない造りですね! また、実際に浴槽に入ってみると、かなり深いことにも驚きました。

 

⑧ 薔薇窓やステンドグラスが彩る、祈りの空間へ

聖ザビエル天主堂
フランシスコ・ザビエルを記念した、白亜の教会

京都・河原町三条に、明治23年(1890)に建てられたカトリック教会堂。正面入口の上には直径3.6mを超える大きな薔薇窓が取り付けられ、この建物を象徴するモチーフとなっています。そんな白亜の外観から、教会堂内に入るととても印象的! 美しいステンドグラスに彩られた、重厚なゴシック様式の空間が広がります。差し込む光は時間帯ごとに形や位置を変え、訪れるたびに異なる表情を見せてくれます。

▼博物館 明治村5丁目51番地

 

〈Pick Up〉ケヤキで表現したゴシック様式

室内の柱や、高い天井を分割するリブには、ケヤキ材を用いてゴシック様式を再現。また、内陣と呼ばれる正面の祭壇に目を向けると、聖フランシスコ・ザビエルをはじめ、7体の聖像が鎮座しています。この空間に佇むだけで、心が自然と鎮まっていくよう。

 

〈Pick Up〉色ガラスに白ペンキで描かれた薔薇窓

建物正面の薔薇窓や、内陣・側廊のステンドグラスは、色ガラスに白ペンキで草花模様が描かれているのが特徴。外側には透明ガラスがはめられ、二重になっています。なお、建物に取り付けられている薔薇窓はレプリカで、本物は教会内の展示コーナーで見学できます。近くで見ると、想像以上の大きさに圧倒されるかも!

 

⑨ 水面に映るアーチが眼鏡のよう! フォトジェニックな橋を渡ろう

天童眼鏡橋
水平な床面を持つ、洋風石造アーチ橋

幅7.7m、長さ13.3mの、山形県天童市の倉津川に架けられた洋風石造アーチ橋。長崎でよく知られる眼鏡橋の床は湾曲しているのに対し、こちらはローマの水道橋のように水平な床面なのが大きな特徴です。「眼鏡橋」という名前の由来は、アーチ部分と水面に映る影が合わさって眼鏡のように見えるためです。橋の高欄やアーチ、円形の内面などには山形産の山寺石が使われており、かすかに淡いピンク色を帯びた、石材特有の表情も魅力です。

▼博物館 明治村5丁目54番地

 

⑩ “東洋の宝石”と称され、多くの要人をもてなした名建築を堪能

帝国ホテル中央玄関
巨匠フランク・ロイド・ライトの代表的作品

池を前に堂々たる佇まいを見せるこちらは、東京の旧帝国ホテルのうち、客室棟の中央玄関部分を移築したもの。20世紀建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトの代表的作品として知られています。天井や床の高さに変化をつけた空間演出や、各種部材に施された多彩な造形美など、見どころがいっぱい! ホテル2階の喫茶室(休店する場合あり)では、季節のケーキや明治村のオリジナルブレンドコーヒーで、優雅なティータイムを楽しめます。

▼博物館 明治村5丁目 67番地

PAGETOP